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平和の尊さ ファッションショーで次世代に デザイナー・鶴田能史さんの想い

戦争の記憶を継承し、平和を願う尊さをどのように若い人に伝えることができるのか。これまでにないファッションという切り口から発信しようとする試みが始まっています。

今月23日に沖縄市で開催されたオーディション。参加したのは3歳から15歳までの子ども達です。

「ピンクと紫がキラキラしているお洋服を着たいの」

Qかずはちゃんの好きなことは何ですか?「お歌とダンスです」

子どもらしい受け答えがあるいっぽうで、9歳になるこちらの子は・・・

「私にとって平和とは家族や友達みんなが楽しく仲良く過ごせることです」

これは今年の慰霊の日に県内で初めて開催するファッションショーに出演するモデルとMCを選ぶためのオーディションです。

企画したのはデザイナーの鶴田能史さん。

▽tenbo代表デザイナー・鶴田能史さん
「私は1人の日本人として、ファッションデザイナーとしてただただ服を発信するだけじゃなくて、そこには平和へのメッセージをどうしても届けたい」

会場の一角に展示されたドレスは鶴田さんが手掛けたものです。

「千羽鶴」をデザインに取り入れているのが特徴で、沖縄や広島、長崎の平和祈念資料館に寄せられて展示を終えたものをゆずり受けて活用しています。

鶴田さんは戦後70年の節目の2015年に初めてファッションに平和のメッセージを取り入れました。

▽鶴田能史さん
「かっこいい服奇麗な服だけをやるだけではどうしても私のなかで心が空っぽになっていた。社会的なメッセージと言われているもの、人がなかなか踏み込むことができないことですらもファッションに届けることができるのではないかと」

8年前の平和をテーマにしたファッションショーの反響は大きく、その後も広島と長崎に原爆が投下された日に平和を願うショーを開催するに至りました。

慰霊の日での開催に向け、鶴田さんは「命と向き合う一日にしたい」と意気込んでいます。

▽鶴田能史さん
「私はファッションで平和の尊さを伝えるだけではなくて、沖縄戦の事もファッションショーを通して知るきっかけになってもらいたいというのがあります」

出演するモデルは障害のあるなしにかかわらず多様性を重視していることも大きな特徴です。

子ども達が抱く平和への思いに焦点をあてていて、中には自身が考える平和について取り組んだ活動を積極的にアピールする人もいました。

▽オーディション参加者
「こういう絵を書いていて、コスモスピース。ひとつひとつハートのマークで出来ていて、これは一人ひとりの個性をハートで表現しました」

▽審査員
「調和がとれているという状況をコスモス・宇宙という英語で言えば、だからコスモスというワードがいいなと思いました。ワードを選ぶセンスが」

145人の応募があったなか、書類選考を通過した49人がオーディションに臨み、高学年の子ども達は戦争について学んでいたり、祖父や曾祖父の戦争体験を聞いていたりします。

▽オーディション参加者
「(私の祖父が子どものとき)みんなで防空壕にいるなかで、米兵から出てきなさいと言われて、保護するから大丈夫だよとなった時におじいちゃんが出て行こうとしたときに残酷なんですけど首を切られて。本当にかわいそうでそういう話を聞きました」

鶴田さんは平和を構築するためには次の時代を担う子ども達へバトンを繋いでいく事が重要だと考えていて、ファッションデザイナーとして自分らしい発信の仕方で慰霊の日を迎えたいとしています。

▽鶴田能史さん
「きょうのオーディションで出会う人達からデザインを生み出していきます。私自身もワクワクしている。子ども達から生み出されるデザイン。そこから作り上げられる平和のファッションショー。是非、色んな人に楽しみにしていただけたらと思います」

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