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「箱根の片道」から大胆変更…規模拡大3年目で“ジャンプ”した宮古島大学駅伝。箱根駅伝シード校が7校も参加したワケ
5区100.5km→6区82.0kmに変更 需要増した理由

今回、参加大学数が初めて二桁に乗った背景には大胆な改革があった。規模が拡大してから3年目にして、初めて区間割りを大きく変更したことだ。以下は昨年との比較だ。
【2024年】総距離100.5km
1区19.5km→2区21.8km→3区20.2km→4区20.4km→5区18.6km
【2025年】総距離82.0km
1区10.8km→2区12.2km→3区20.1km→4区10.0km→5区10.3km→6区18.6km
昨年までの2年間は1区間約20kmだった。これは学生駅伝界で国内最長の距離がある箱根駅伝(10区間、総距離217.1km)の片道に匹敵するスケールであり、宮古島の過酷なコースでこの長さを走り切るのは容易ではない。新チームとなり、これから走力を高めていく段階にある選手にとっては、怪我のリスクも拭えないだろう。
実行委員会事務局で中心を担う曽禰信さんが、区間ごとの距離のバリエーションを増やした経緯を説明する。
「この1年間、日本インカレなど様々な大会に顔を出して各大学のコーチから聞き取りをしましたが、新チームで戦うには5区100kmのフルパッケージは厳しいという声が多かったんです。『20km区間もいくつかあっていいけど、10km区間をもっと入れてほしい』との意見もありました。それを受けて区間割りを劇的に変えたら、一気に参加校が増えました」
今回参戦した大学のうち、半数ほどは事前、事後に島内で合宿を実施。國學院大については、昨年12月から3カ月連続で宮古島合宿を敢行したという。強豪大学を誘致し、事務局はさらに大会をフックにして大学駅伝ファンや市民ランナーの呼び込みも見据えている。
スケールの拡大は参加大学だけではない。
特別協賛にはサンエーや沖縄ファミリーマート、日本トランスオーシャン航空(JTA)など地元の著名企業のみでなく、宮古島で事業を展開する東急グループや三菱地所、全日本空輸(ANA)など大手も名を連ねる。全体の企業数は増加が続く。
今大会では、最終6区に限って宮古島市の中学生・高校生の選抜チーム、県内の陸上界を引っ張る北山高校、那覇西高校もオープン参加した。沖縄で強豪大学のレベルを直に感じられる機会は極めて稀であり、にわかに活気付く沖縄長距離界の盛り上がりを後押しする一助にもなるだろう。
國學院大の前田監督が「交通的な制約は理解していますが、もっと宮古島の方々にレースを見てもらうためにも、もう少し街中を走れると地域の活性化につながると思います」と言ったように、まだ改善の余地はありそうだ。
大会事務局が掲げる「第4の大学駅伝」として、そして沖縄スポーツの新たな「冬の風物詩」として…。今後のさらなる発展が期待される。
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