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長嶺 真輝

長嶺 真輝

琉球ゴールデンキングスを追い掛けて 〜シチリア島・取材旅行記〜 イタリア人と、ボンゴレ、紅芋タルト、欧州バスケ・・・

お喋りなホテルオーナーと沖縄っぽさ

琉球ゴールデンキングスキングスを追い掛けて 〜シチリア島・取材旅行記〜
トラパニへ向かう長距離バスの車窓から見えるシチリア島の景色

5日午後6時過ぎ、関西国際空港に向けて那覇空港を離陸した。この路線の所要時間は約2時間で、ちょろい。問題は次だ。関空からトルコのイスタンブール空港まで13時間。慢性的な腰痛持ちにはなかなか長い。が、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」で気を紛らわし、幸いターキッシュエアラインズの座席が大ぶりで上等だったため、3年ぶり2度目のギックリ腰は免れた。

その後、さらに2時間半をかけてシチリア島北部のパレルモ空港に到着。気温が30℃を超え、飛行機を降りた瞬間に「もわっ」とした空気が全身を包んだ。沖縄のそれと似ているが、夏は高温で乾燥している地中海性気候のせいか、嫌悪感は少ない。田舎に位置する空港は小規模で、ゴツゴツとした岩山と碧海がまわりを囲んでいた。

すぐに長距離バスに乗り換えてトラパニへ。海沿いの道路を走る間、右側の車窓には地中海が延々と続いた。筆者が座った左側には岩山や赤茶色の家屋が目立つ集落、広大な農地など牧歌的な風景が流れた。畑では島の特産物であるレモンやトマト、オリーブなどを作っているのだろうか。遺跡とおぼしき一部崩落した石造りの建物もちょくちょく視界に入った。

琉球ゴールデンキングスキングスを追い掛けて 〜シチリア島・取材旅行記〜
アパートメントのような小さなホテル

トラパニに到着したのは6日午前10時半ごろ。マイナス7時間の時差があるため、丸1日をかけて到着したことになる。

すぐに街の中心にあるアパートメントのようなホテルでチェックイン。ほぼ徹夜状態で疲労困憊だったが、40代くらいの人のいい男性オーナーが地図を片手に観光地を延々と説明してくれた。

「美味しいパスタや海鮮料理を食べたければ、このエリアがいい」
「この港に行けばクルーズツアーがあるよ」

イタリア訛りの英語は抑揚があり、ネイティブより聞き取りやすくてありがたい。小ぢんまりとしたホテルで他に客もいなかったため、10〜15分ほどは話していたように思う。

トラパニ・シャークとキングスの試合を取材に来たことを伝えると、「地元にバスケットボールチームがあるのは知ってるけど、自分はテレビでサッカーしか観ないねえ」と少し苦笑いを浮かべていた。それもそれで、サッカーが深く根付いているイタリアらしい。

いろいろ教えてくれたお礼に那覇空港で買った「紅芋タルト」を渡すと、笑いながら「自分に?」と驚いた様子で受け取ってくれた。味の感想を聞くのを忘れたが、沖縄については「シチリア島みたいに日本の南にある島だよ」と簡単に紹介しておいた。これも「沖縄を世界へ」につながるといいが。

琉球ゴールデンキングスキングスを追い掛けて 〜シチリア島・取材旅行記〜
お喋り好きなホテルのオーナー(左)。紅芋タルトをお土産に

このオーナーを筆頭に、シチリア島で接した人は漏れなく人が良かった。笑顔が多く、ゆったりしている印象も受けた。

パレルモ空港でバス停の場所を尋ねた30代くらいの男性は、すぐに通りすがりの女性職員に声を掛けて聞いてくれた。午後11時過ぎに試合取材が終わった後、飲み水を求めてホテルの目の前にある小さい商店に立ち寄った時は、既に日付が変わって若いおにいちゃんがレジを閉める作業をしていたが、「水だけ買えない?」と英語で聞くと笑顔で手招きしてくれた。返答はイタリア語だったからなんと言ったかは分からないが、「ノープロブレム」っぽく聞こえたから「Nessun problema(問題ないよ)」だったのだろうと想像する。

沖縄の人も、県外からよく「のんびりしている」とか「温厚」などのイメージで語られやすい。
もちろん一括りにすることはできないが、いずれも比較的温暖な島で、似たような空気が育まれているのかもしれない。

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