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長嶺 真輝

長嶺 真輝

桶谷大HCが「アンダードッグ」を好むワケ。琉球ゴールデンキングス、新チームの戦い方を考察

少数体制で「俺たちがやってやる」というマインドに

琉球ゴールデンキングス
新シーズンでプレータイムの増加を目指す植松義也

もう一つ、今シーズンの特徴は現時点でロスターが11人という少数体制ということだ。この人数で試合に向かう上で、桶谷HCは選手たちの中に「『俺たちがやってやる』というマインドセットがすごいある」と感じているという。

練習生出身の植松義也や荒川、プロ選手としてルーキーシーズンを迎える脇らにとっては
プレータイムを得る「チャンス」でもあるため、覚醒するために日々のトレーニングにより力が入っているだろう。公開練習の日も全体のトレーニングが終わった後、この3人は長くサブアリーナに残って個々のワークアウトや連係の確認を念入りに行っていた。

新キャプテンになった小野寺とロー、新天地での活躍を誓う伊藤、アルマらを含め、自身のパフォーマンスを向上させることに対して貪欲さを持っている選手は多い。それらを念頭に、桶谷HCは今シーズン、試合に臨むに当たっての心構えをこう語った。

「『アンダードッグな戦い方』ができるんじゃないかと思っています。キングスはもともと『王者の戦い方』というより、アンダードッグな下から突き上げるような戦い方をするところが魅力な球団です。自分から雑草軍団とは言わないですけど、そういう戦い方をしたいなと思います」

バスケットボール界でよく使われる「アンダードッグ」という言葉は、格下や弱者などの意味で用いられる。昨夏に沖縄などで行われたW杯や今夏のパリ五輪に臨んだ男子日本代表も、格上の国に挑むに当たって、選手やヘッドコーチが、自分たちが挑戦者であることを説明する文脈でよく口にしていた。

その意味で言うと、昨季まで3シーズン連続でBリーグチャンピオンシップ(CS)ファイナルに進出し、西の強豪としての地位を盤石にしているキングスには適さない言葉に思えるかもしれない。しかし、クラブの草創期にもキングスを率いた桶谷HCが「もともと」と前置きしたように、節目ではいつも「下から」のスタートだった。

bjリーグに初めて参戦した2007-08シーズンは10勝34敗で地区最下位。Bリーグ初年度の2016-17シーズンは西地区2位でCS進出こそ果たしたが、29勝31敗で負け越し。この二つとは少し意味合いが違うが、沖縄アリーナが完成してから初の公式戦となった2021年4月21日の名古屋D戦は85-87で苦杯を喫している。いずれも、キングスはその後に躍進を遂げている。

2022-23シーズンに初優勝を達成した際、最終戦後の記者会見で、生え抜きの岸本も「キングスの歩んできた道を振り返ってみても、何度も何度も壁に当たって、それを乗り越えて今日という日を迎えたと思う」と感慨深げに語っていた。その前シーズンのファイナルでは宇都宮ブレックスに2連敗という屈辱的な敗北を喫していたため、その悔しさが力になった面は間違いなくあった。

「アンダードッグ」というメンタルが、キングスに強さをもたらすことは歴史が証明している。だからこそ、桶谷HCもその戦い方をクラブの「魅力」と表現したのだろう。

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