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新たな試みへの挑戦、そして“次の場所”へ B.B.WAVES jr. 2ndコンサート「THE BLAST」<夜の部>ライブレポ 【アクターズLog.】

数々の実力派アーティストを輩出した「沖縄アクターズスクール」。その第二幕を彩る、新たな沖縄の才能・B.B.WAVES jr.メンバーを追う青春密着応援番組『アクターズTune!』が毎週土曜あさ10:55~絶賛放送中だ。 【アクターズ Log.】は番組と並走しながら、時には番組内容を深掘りし、時には違った視点からのアプローチで、世界を目指すフレッシュな才能とそのインストラクターたちを立体的に記録する試みである――。
5月5日に沖縄コンベンションセンターで行われたB.B.WAVES jr.の2ndコンサートは「THE BLAST」というタイトル通り、メンバーたちの今を“爆発”させるパフォーマンスが繰り広げられた。今回はアクターズとして新たな試みにも挑んだ<夜の部>のライブレポートをお届けする。
会場の度肝を抜いた波美の「唱」

<昼の部>と同じく、jr.初のオリジナルソング「BE THE ONE」で幕を開けた<夜の部>は、歌い終わった後のMCで光が思わず「めっちゃヤバいですねー!」と言ってしまうほど歓声の音量と観客の熱量が上昇していた。その勢いにBABY WAVES、BABY CRUNCH、B.SWEET、B.CRUNCH、BABY VOICEも続き、会場をどんどん盛り上げていく。
そして、<夜の部>の最初のハイライトが訪れる。エネルギッシュでハイテンポなイントロから、数行の歌詞に様々な声色をあてて歌いこなす波美が登場し、特大の存在感を舞台に刻印する。言葉数の多さとメロディや構成の複雑さで、超難解な楽曲の代名詞になっていると言っても過言では無いAdoの「唱」のパフォーマンスで、会場の度肝を抜いていた。
「凄え、と思ったのは波美。あの曲を生でブレずにしっかりやれるのは、相当歌い込んでないとできない。相当練習したんだな、ということも感じたし、頼もしさもあった。波美の成長を感じました」と、牧野アンナさんが終演後に印象的なシーンとして振り返るのも納得のインパクトを残した瞬間だった。
新生アクターズの新たな試み

スペシャルコーナーでお披露目されたのは、なんとjr.たちによる「バンド」だった。アクターズの初の試みとして、楽器を弾ける、または練習して弾けるようになれるメンバーを集め、BABY BANDとB.B.BANDを結成。この日のために猛練習を重ねた(その様子は『アクターズTune!』でも放送済)。
「Little Wing」を演奏したBABY BANDは、堂々としたパフォーマンスとフレッシュな勢いで荒削りな部分をカバー。弾けんばかりのエネルギーをステージ上で発散していた。対して、「君はロックを聴かない」を披露したB.B.BANDは、落ち着いた佇まいでボーカル・ゆなきの声をしっかりと丁寧に届けていたのが印象的だった。
2つのバンドに共通して感じたのは、リズムがかなりしっかりしていたとういうこと。普段から全身でビートを感じ、しかも他のメンバーと呼吸を合わせながら踊っているということもあってか、それぞれのメンバーがそれぞれのパートの役割と位置付けを直観的に感じ取り、その上でバンドアンサンブルとしてまとまっていた。
アクターズ×アニソン×コスプレ!!

新たな試みはまだ続く。
「アニソン×コスプレ」というフレーズがステージのスクリーンに映し出されると、聴いたことのある軽快なイントロとともに登場したのは、キューティーハニーに扮した森田心優。
真っ赤な髪を靡かせながら、四肢の長さとしなやかさを存分に活かした振り付けを踊る姿は輝きを放っており、その“ハニーフラッシュ”を浴びた客席からはひっきりなしに大きな歓声が上がっていた(ちなみに振り付けを担当したのは光)。
そして間髪入れずにステージに現れたのは、人気TVアニメ『推しの子』の劇中アイドルユニット「B小町」となった富川華凜、又吉伶音、杏珠の3人。そこら中にあるキュートを片っ端から集めて詰め込んだような可愛さを無差別に振り撒きながら「アイドル」を歌い切った。
「私は最強」を轟かせて終幕

新生アクターズとしての新たな試みで多様さを押し広げた後は、一転して最も濃厚に“アクターズism”を体現していると言っていいB.ROXのステージが始まった。<昼の部>とは全く違うアプローチで、アグレッシブ全開の楽曲からエモーショナルに歌い上げるバラードまで、表現の幅を見せつける。
Neilの弾き語りソロパフォーマンスから、B.MOVEへと続き、B.VOICEは光にフォーカスしたアレンジの「THIS IS ME」を披露。MCでは、にわかに「緊急告知」が挟み込まれ、Rune、Soul、崎山清翔の3人がB.B.WAVES jr.からB.B.WAVESへ昇格したことが発表されるサプライズもあった。
この日最後のアンコールでは、新生アクターズ開始当初からメンバーが歌い続けてきた「私は最強」を全員でパワフルに歌い響かせ、会場を揺らして終幕。「これからもどんどんパワーアップしていくB.B.WAVES jr.をお見せします!よろしくお願いします!!」と、光が力強い言葉を残した。

終演後、2ステージを終えたメンバーたちを前に、アンナさんが次を見据えた檄を飛ばしながら、同時に笑顔で労った。
「当日になって失敗もあったと思うけど、失敗や間違いは全然悪いことじゃない。人間だから絶対にあることだと思います。大事なのは、間違った時に間違ったことをどう成功に変えるかということです。失敗を失敗に終わらせるか、失敗を逆転させて最大の成功に繋げるかはみんなの心持ち次第だから、常に何が起こっても絶対正解に変えてやるっていう気持ちを持ってください。そしたら大丈夫なはずです。そして、今日のみんなのパフォーマンスは本当に最高だった。もうめちゃくちゃ楽しかった!!」
次のフェーズに必要なもの「魂込めた1曲」
コンサートを終えて安堵感に包まれたのも束の間、メンバーに『アクターズTune!』の番組終了が報告された。
驚きと寂しさで騒然となる中、アンナさんはjr.たちの成長にとって番組の存在が非常に大きな役割を果たしたことも踏まえつつ、来年の武道館も見据えて「B.B.WAVESのオリジナルソングを作って、ライブに来てくれる力強いファンを1人でも多くしていくことに注力するところにきている」と説明した。
次のフェーズへ向かうビジョンについて、アンナさんは「明確にあります」と断言し、「B.B.WAVESというグループで勝負すべきだと考えています」と話した。そして、確信に満ちた口調でこう続けた。
「世界を見た時に、単体の誰か、あるいはユニットで切り取ったらおそらくまだ通用しないと思うんです。だから、色んなバラバラな個性がガチャガチャしてるんだけど(笑)、それが“グループとしてちゃんと1つになる”という面白さをちゃんと追求したい。そのためには先ず、グループとしての名刺代わりになるような最高の作品、魂を込めた1曲を作らなければいけないんです」
子どもたちの可能性を誰よりも感じ、そして誰よりも信じているアンナさんの眼差しと思考は常に先へと向かう。その推進力は大きな道標としてメンバーを導いているが、示すルートは決して1つではなく、B.B.WAVES jr.の1人1人がそれぞれの道を切り拓いて突き進んでいくための豊かな余白がいくらでも広がっている。
1年間に渡って追ってきた新生アクターズの可能性はどんどん膨らんでいく一方だ。番組とともにこの連載も終了となるが、挑戦と躍進を止めないアクターズの動向からは引き続き目が離せない。

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