暮らし,沖縄経済
海洋汚染を考えるきっかけに!サンゴを守る日焼け止め
──今回は経済のスペシャリストであるブルームーンパートナーズの今川雄太さんとお伝えします。
今川さん
「よろしくお願いします。今回のテーマはこちら!『海洋汚染を考えるきっかけに!サンゴを守る日焼け止め』についてです。」

一般的な日焼け止めには「紫外線吸収剤」が入っているのですが、この一部の成分が海に溶け出るとサンゴや海洋生物に悪影響を与えると懸念されています。

世界有数のリゾート地であるハワイやパラオなどでは、その成分が入った日焼け止めの販売や持ち込みが法律で禁止されているところもあります。

日本でもSDGsへの関心の高まりから、徐々にサンゴに有害にならない日焼け止めが開発されていますが、そんななか、沖縄県内でいち早く環境に配慮した商品を作った女性に話を聞きました。
開発のきっかけは、ある一言から
金城由希乃さん
「日焼け止めをすごいたっぷり塗っていた私に「あ~あ、サンゴ死んじゃうよ」という人がいて、私いまサンゴに何かしているのかなというので、いてもたってもいられなくなって」

沖縄市出身の金城由希乃さん。

座間味島のダイバーの言葉をきっかけに2017年に開発したのが、その名の通り「サンゴに優しい日焼け止め」です。

金城由希乃さん
「懸念のある成分というのを使わない、極力使わないとかじゃなくて使わない」
海に住む生物およそ50万種のうち、4分の1がサンゴ礁の周りで暮らしているといわれています。
さらに沖縄の海では世界に生息するサンゴのおよそ半数以上の種類が確認されていて、これは一か所で見られる数としては世界最多を誇っています。

金城さんは日焼け止めを通して、沖縄から海の生態系に大きく関わるサンゴについて考えるきっかけを作りたいと話します。
金城由希乃さん
「日焼け止めの害というよりは、サンゴってそういえばなんだっけというところからサンゴの保全とかに対して、みんなで守ろうみたいな気持ちの種をちょっとずつ植えられるんじゃないかなと思って」
製品の使い心地は?

金城由希乃さん
「すごくよく伸びるんですよ」
今川さん
「いい香りがしますね、なんの香りですか?」
金城由希乃さん
「これはラベンダーとかミントとか」
コロナ禍にも関わらず、売り上げは右肩上がりで伸びていて、徐々にサンゴの保全に対する関心の高まりを感じています。
金城由希乃さん
「サンゴにやさしい日焼け止めというものを世に届けることで、置かれているだけでみんながやさしい気持ちになったりとか購入して使われる方が自分やさしくなったと思うことが、また周りにもどんどん波及するのかなと思っています」

持続可能な開発へ 有名企業も続々参入
SDGsへの関心の高まりと共に、大手企業も続々と参入しています。

ロート製薬は2022年、環境への影響が不安視されている成分を除いたUVケア商品「スキンアクアネクスタ」を発売しました。
ロート製薬開発担当 福嶋一宏さん
「少しでも環境を考えるきっかけになればうれしいですし、たくさんのお客様が手に取っていただけるドラッグストアのような売り場でいち早く我々は商品を届けていきたいです」

ロート製薬では、サンゴに配慮した日焼け止めを知ってもらおうと、商品のPRを兼ねたビーチクリーン活動を石垣市で行いました。
ロート製薬マーケティング&コミュニケーション部 梅田かなはさん
「沖縄からサンゴに配慮した日焼け止めがあるというのを知っていただきたいという思いもありました」

ビーチクリーンの参加者
「地球にもやさしいけど、自分の心にもやさしいなと思ったので、今後もこういう活動に参加できたらなと思いました」
ダイビングの関係者などおよそ30人が集まり、30分ほどで2トントラック2台分の漂着ゴミなどを回収しました。

日焼け止めをきっかけに、海の生物多様性を育むサンゴを保全しようというやさしい心が沖縄から広がっています。
今日の一言
──さて今川さん、今回のテーマから見えてきたことはなんでしょうか。
今川さん
『沖縄の海から世界へ』です。

今回は、沖縄から生まれた商品も、大手メーカーが作る商品も、「沖縄の海を守りたい」という共通の想いを強く感じました。日焼け止めは観光客も使うと思うので、海に入るときのちょっとした心くばりが、沖縄の海に影響を与えることを伝えたいですね。
また石垣島でさまざまな国からの漂流ごみを拾うなかで、世界の海はつながっていることを肌で実感しましたが、沖縄での環境に配慮した行動が世界にも繋がっていくと思います。沖縄から全国へ、そして世界へ、海を考える想いが広がっていくといいですね。
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