暮らし
「なぜクリスマスに虐待を…」ゴージャス理枝がサンタクロースになる理由
経済的に困窮する子育て世帯に食料を届ける活動を行うゴージャス理枝さん(那覇市・エステサロン経営)は、毎年クリスマスになるとサンタクロースに変身する。お菓子を持って訪ねるのは、児童養護施設や母子寮に入所する子供たちのもと。


ゴージャス理枝さん
「クリスマスって最高なんだっていう思いを平等にさせてあげたくて。12月25日は必ず経営するエステサロンを閉めて、できる限りの施設を回りプレゼントを配っています」
ゴージャス理枝が見た沖縄の現状 児童養護施設にいた傷だらけの女の子
ある年のクリスマス。ゴージャス理枝さんが沖縄県内の児童養護施設を訪ねると、弱々しく泣く女の子を見つけた。
ゴージャス理枝さん
「5歳ぐらいの女の子なんですけど、体型的には3歳児。もう骨と皮しかなくて、色も真っ白。顔は正直見ていられないぐらいでした。殴られた後の打撲、血も出ているし。
なんでこんな25日に親は預けているんだろう、虐待をしたんだろう、なんでこの日なんだろうって思うくらい。本当にかわいそうで。女の子はずっとか細い声で泣いていました。
その子がサンタクロースになった私に『プレゼント』って言うから、『おいで、何が欲しい?』って聞いたら『ぬいぐるみ』って。車に積んでいた沢山のぬいぐるみをとってきて、『これ全部あげる。来年もサンタさんは来るから、ご飯もちゃんと食べてね』って約束をして。
クリスマスに施設を訪ねるたびにそういう現実を見せられる。ただ、サンタクロースの姿を見て泣き止む子どもたちとか、笑顔になる子どもたちとかを沢山見ているんで、12月25日は絶対にサンタクロースになっていないといけないって思いました」

共感広がり 新たなプロジェクトが始動
2021年、ゴージャス理枝さんの活動が共感を呼びクリスマスに向けて新たなプロジェクトが始動した。
立ち上がったのは、学生ボランティア団体VONS(ボンス)
企画したのはお菓子を入れるギフトボックス作り。VONSの呼びかけで集まった沖縄県内の中高生が休み時間や放課後の時間を使って、サンタクロースやトナカイ、雪だるまなど様々なデザインのギフトボックスを制作した。それも、一人一人へのメッセージ付きだ。



提供された大量のお菓子
沖縄県遊技業協同組合からは景品として保管していた大量のお菓子が提供された。駄菓子やチョコレート、スナック菓子などバラエティーに富んだお菓子の数々。これらは学生たちが真心こめて作ったギフトボックスに一つ一つ大切に詰められた。



クリスマス当日 広がる笑顔
2021年12月25日。本業のエステサロンは終日休みに。
ゴージャス理枝さんは県内の母子寮や児童養護施設を回り、大勢の人たちの思いが込められたクリスマスプレゼントを子どもたち一人一人に手渡した。



ゴージャス理枝さん
「本当に感謝しかないですね。この子たちも受け取った時に自分へのプレゼントなんだと思ったらすごく嬉しくなったと思います。本当にみんなの力で大成功でした。
この子たちにとってスペシャルなクリスマスになってくれたらね。変なサンタクロースが来て少し笑ったっていう思い出でも残ってくれればいいかなと」

丸1日をかけ県内の児童養護施設や母子寮にお菓子を届けたゴージャス理枝さんと相棒のマツ毛美紀さん。これからも2人はクリスマスにはサンタクロースに変身し続けることを心に誓った。
(取材:沖縄テレビ制作部ディレクター 上原麗夏)
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